貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜
個人差はあるだろうがディアンヌはピーターの体が軽く、手足が細いことが気になっていた。
ロイたちに比べてしまうと、尚更そう思うのかもしれない。
それにディアンヌは「お母さんの料理」と言ったことが引っかかっていた。
そしてピーターがいたであろう境遇を想像する。

そんなタイミングで何冊も本を持ったピーターが帰ってくる。
ピーターはディアンヌにベッタリとくっついて離れない。
手を繋いで部屋を移動していく。


「どうしてピーターはわたしとたくさん遊んでくれるの?」

「うーん……」


ピーターに理由を聞いても、うまく言葉にできないのか「ディアンヌはディアンヌだから」とよくわからない返答が返ってきた。

ディアンヌは今はできることをしようとピーターと彼と遊んでいた。
いつの間にか、リュドヴィックとディアンヌの寝室にはピーターが持ってきたもので、いっぱいになっていく。
ディアンヌがうまく動けないので仕方ないのだが、彼は遊び疲れてぐっすりと眠ってしまうことがほとんどだ。
エヴァや侍従たちに運ばれていくピーターをディアンヌは見送りながら考えていた。

(元気に見えるけど、何かが……)

するとマリアが温かい紅茶を出してくれる。
マリアと共にエヴァも寝室に入り、ディアンヌに言葉をかけてくれた。
どうやらピーターが毎日、問題を起こすことなく元気に過ごせていることが嬉しいようだ。


「あんなに楽しそうなピーター様は久しぶりに見ました。ディアンヌ様、ありがとうございます」

「わたしも楽しかったわ! ピーターはとても聞き分けがよくてとてもいい子ね」
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