花曇り姫は最強王子に愛される。
「……気にすんなよ、あんまり」
「うん、大丈夫。もう忘れることにした」
「ああ。今日、昼飯一緒に食堂行かね?」
「あーごめん、一輝くんからお弁当もらってるんだ」
「……そうか、ならないい。じゃあな、俺は戻る」


ポンと頭に手を置かれて、行ってしまった。

一番後ろの角の席に座り、外を眺める。

すると、反対校舎から手を振っている男の姿が見えた。


「……え」

あれ、さっきの死んだ目の人じゃ……?

ぶるぶるぶると震え上がった身体。頬を両端からぺしっと叩き、正気に戻った。


「……気にしない」


ボソッとそう呟き、もうすぐ始まる授業に集中することにした。


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