花曇り姫は最強王子に愛される。
……放課後。


今日は瑞希くんと2人で帰る約束だ。

京ちゃんは部活の助っ人があるらしい。ああみえて、人付き合いはとても上手だから。

瑞希くんたちのことを、呼ぶたびに呼び方が変わるのは私の気まぐれで、めんどくさい時ほど訳して呼んでいる。


「……陽菜ちゃん」
「……」


明らかにいつもと違う声。というか、瑞希くんは私の名前を呼ばずに肩に手を置いてくる。

ってことは……


「死んだ目の人っ……」
「あはは、失礼だなぁ。凛斗って呼んでよ」
「お断りします。あと、さっきは投げてしまいすみませんでした」

ぺこりと頭を下げた。

すると、少し目を丸くさせた黒瀬さん。


「気にしてないよ〜?だからそんなに怖い顔しないで」
「……私、約束してるので失礼します」
「約束って、誰と?もしかして無口なあの人?」
「な、なんで京ちゃんのことといい色々知ってるんですか……!!」
「うーん、どうしてかなぁ」


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