花曇り姫は最強王子に愛される。
第一話　始まりの音
「はーあ、京ちゃん今日も遅いなぁ」


ピンク色の瞳に真っ黒なストレートの髪の毛が特徴的な私。
地味でも目立つわけでもない、至って平凡な女の子だ。


大きなリュックを背負いながら、学園の門の前で立ち待っていた。

相手は、隣の部屋に住んでいる幼なじみの京介こと京ちゃんだ。


「……あ、陽菜。ごめん遅くなった」
「京ちゃん！ううん、じゃあ帰ろ〜」
「ああ」


京ちゃんといると、いつも周りから視線を感じる。

きっとこの完璧なビジュアルが目を引くのだろう。

まぁ……当の本人は、無関心だけど。


「……チッ」
「どうしたの？そんなに周りのこと威嚇したらだめだよ」
「どいつもこいつも、お前が可愛いからってチラチラみやがって……ムカつく」
「あははは、相変わらず褒め上手だなぁ〜」


京ちゃんは大型犬を擬人化したような男だ。

普段は大人しいけど、私に何かあるとすぐ吠える。

多分……私の生い立ちが複雑なせいだけど。





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