マイナスの矛盾定義
ゴーストタウンのような場所の中心に、大きな建物が建っていた。


見覚えはない。ないけれど、それが何かすぐに分かった。



「あれが研究所ね」


「あぁ。ここからは歩いて行こう」



確かに、アスファルトやコンクリートの残骸があちこちにあって車で走れるような道じゃない。


車から降りて歩いていこうとすると、ジャックが私の手を取った。


転ばないようにだろうけれど、あまりにも自然で逆に違和感を覚える。



「こういうのは奥さんに教わったの?」


「え?」


「こういう…女性への扱いがうまいじゃない?」
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