マイナスの矛盾定義
「嫌…嫌、嫌、嫌…怖い怖い怖い…嫌だ…ごめんなさ、」


「ラスティ君!聞いて!」


「……っ」



少し大きめの声で言うと、ラスティ君はひゅうっと息を吸うようにして黙った。


ようやくその目にちゃんと“私”が映った気がする。



「…大丈夫。大丈夫だから」


「……」


「ここには私しかいない。他は誰も来ない」


「……」



私の声が届いたのか、ラスティ君は目を瞑った。涙がまた一筋零れる。



「何かあっても、私が貴方を守ってあげる」



口先だけの言葉に過ぎない。


この様じゃ、誰を守ることもできないだろう。
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