マイナスの矛盾定義
「あぁ。俺も、君と同じで目的があるから」


「目的…?」



私が訝しげに見つめると、自らの服を引っ張って肩を見せてくるジャック。



右肩にあるタトゥー――ブラッドさんの左手のそれと同じ物。




「これ、何か分かる?」


「タトゥーでしょう?ブラッドさんと同じだわ」


「それだけじゃない。ある女の、所有物である証だ」


「…どういうこと?」


「俺もブラッドも、所有物だってことさ」



よく分からない。


いや、誰かの所有物だからといって、何故それがあの研究に関わる組織に属する理由になるのか。



ジャックはそれ以上何も言わず、にこりと微笑むだけ。



詳しく聞いていいのか、駄目なのか。


聞いて答えてくれるのか、聞かれるのを待っているのか。



少しの間考えて…これ以上聞くのはやめることにした。


一番聞きたいことを優先しよう。


この人の目的を聞いたところで、何か役に立つとは思えない。
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