マイナスの矛盾定義
私がスパイであることを仲間にハッキリ言わないのも、きっと私が徐々に追い詰められていく姿が見たいから。




「ほんっと…趣味悪いわね」


私は無理矢理口角を上げ、できるだけ余裕を失わないように努める。


確かに、スパイ捜しが行われているならここにいるのは良くない。


とりあえずラスティ君の言うとおり9階に戻って、対応策を考えよう。


――でも、対応策なんかある…?


既にピアスはラスティ君が持っている。それに、私がスパイである証拠さえ握っている。


ラスティ君がその気になれば、いつでも私がスパイだと確定することができる。
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