「家族が欲しい」とは言ったけれど
Ⅲ
今日もまた、尚は私の家にミケと一緒に遊びに来ている。
去年、誰の仕業かわからないが「誰か拾ってニャ」と書かれた段ボールの中に仔猫が、ちょうど尚の自宅前に捨てられていた。
「酷いことする人がいるものね!」
無責任な飼い主に私は憤慨したが、尚は仔猫を抱き上げると、
「お前、うちの子になるか?」
そう言って、あっさりと仔猫を飼うことに決めてしまった。
「ちょっと…そんな簡単に決めちゃって大丈夫?」
尚は、高校生で作家デビューしていることもあり、既に人気作家の仲間入りをしていたが、まだ専業作家にはなっておらず、実家暮らしだ。
「これも何かの縁だろうから」
その時、私は自分の器の小ささを恥じた。
私は、仔猫を捨てた誰かに腹を立てながら、自分が飼うということは考えていなかったのに、尚は誰を責めることもなく、自分で飼おうと決めたのだ。
去年、誰の仕業かわからないが「誰か拾ってニャ」と書かれた段ボールの中に仔猫が、ちょうど尚の自宅前に捨てられていた。
「酷いことする人がいるものね!」
無責任な飼い主に私は憤慨したが、尚は仔猫を抱き上げると、
「お前、うちの子になるか?」
そう言って、あっさりと仔猫を飼うことに決めてしまった。
「ちょっと…そんな簡単に決めちゃって大丈夫?」
尚は、高校生で作家デビューしていることもあり、既に人気作家の仲間入りをしていたが、まだ専業作家にはなっておらず、実家暮らしだ。
「これも何かの縁だろうから」
その時、私は自分の器の小ささを恥じた。
私は、仔猫を捨てた誰かに腹を立てながら、自分が飼うということは考えていなかったのに、尚は誰を責めることもなく、自分で飼おうと決めたのだ。