鉄壁の女は清く正しく働きたい!なのに、敏腕社長が仕事中も溺愛してきます【試し読み】

 それにあの御陵ホールディングスの、御陵常務はくせものだ。

 軽い雰囲気で周囲を油断させておいて、ここぞというときに本性を現すタイプ。そうでなければ、私に対してあんなに気軽に接触はしないだろう。

ただのフレンドリーな上役ではない。

経費の精算書から判断すると社長がずっと接触してきたのは彼で間違いない。だから新社長は彼になるだろう。

御陵常務は最終的には自分の目で判断をしたいタイプだ。今の会社の状況を確認しにきたのだろう。

あくまで私の把握する範囲でだが、今日の様子からしても間違いない。

「なんか面倒そうな人だったなぁ。なんとなく本性がつかめないって感じ」

 派手じゃなくても安定した仕事をして収入を得たい私。目立たない場所で自分の仕事をしてつつましく暮らしたい。それだけなのだ。

 だから変なことに巻き込まれたくない。

 間違っても私の能力には気が付かないでほしい。知っている人は『すごい』という人もいるが、私にとって自分の特技にはあまりいい思い出がないのだ。

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