鉄壁の女は清く正しく働きたい!なのに、敏腕社長が仕事中も溺愛してきます【試し読み】
できれば定年までしっかり働きたい私にとっては、ありがたいことだ。ここでやるべきことを淡々とこなしていこう。
「なんだか、私もやる気がでました!」
四条さんはすっかり御陵社長の信者になって、やる気にみなぎっている。
私はといえば、どうにか平穏に過ごしたい。その気持ちは変わらない。だから御陵電気のお家騒動に会社を巻き込まないでほしいと切に思う。
小さくため息をついたのを、課長は見落とさなかった。
「鳴滝さんはため息ですか。四条さんとは真逆の反応ですね」
「すみません。気を付けます」
普段はあまり感情を出さないようにしているのに、うっかりしていた。
「いいんですよ。仕事をきっちりしてくれれば、やる気があろうとなかろうと」
「ないってわけでは、ないんですけど」
そうだ。しっかりと自分の食い扶持は稼がないといけない。
「言い方がきつかったですね。ふたりともいつも頑張ってくれてありがたいと思っていますよ。では、まだまだ忙しい日が続きそうなので頑張りましょう」
課長が気合を入れるかの如く、ぱんっと大きく手を叩いて、仕事を開始した。