とある男の収集癖


声のする方を見ると、教卓に頬杖をついて、僕のことを見ている女子が居た。
体育の時間だというのに僕と同じ制服のまま。

やばい、いつの間に居たんだ?

周りに見られないように気を付けていたはずなのに。

黒髪のベリーショートヘアーがよく似合う、いつも気の強そうな感じの藤代有紀(ふじしろゆうき)さんだ。同じクラスだけど話したことがない。

「あ、もしかして佐枝君、生理なの?」

藤代さんが笑いながら言った。きっと馬鹿にしてるんだ。

「は!?ちがっ!」

怖くなった。もう終わりだ。

僕のやっていることは泥棒。

警察に捕まるしかない。

「な、わけないか。それ、女の子専用のものだよ。取らないであげて。生理用品だから」

ああ、生理の時に使うのか。
いまいち使い方は分からないが、生理中の木村さんが使うのかと思うと興奮する。
この期に及んでまだ、興奮するとか。本当に僕はどうしようもない奴。

取らないでと言われたので、ポーチに戻して、
バッグに戻した。


「ねえ、佐枝君。君のやってることって相当まずいよね。前から盗んでたの知ってたけど、バレたら一生の終わりだね」

前から知っていた? そんな、知られてたなんて。

バラすつもりなんだ。僕はもう人生終了だ。どうしよう。

怖くて怖くて、自分のした行いに後悔を感じはじめた。

「佐枝君、バレたくないよね? じゃあ、あたしの言う事聞いて」

藤代さんは僕に近づいてきた。
ボーイッシュな髪型してる割に意外と顔が可愛らしい。あと、胸が大きいな。

「ねえ、聞いてるの」

パシリにでもされるんだろうか。バレるより、一生パシリで居たほうが断然マシだ。
それに、可愛い子に使われるのは、そこまで悪い気はしないし。
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