眩暈ーげんうんー

あたしと先生のはじまり

あの時のキスを思い出してしまった。忘れなきゃいけないはずなのに。


先生と2人きりだと、やっぱり好きが溢れてどうしようもなくなってしまう。

あたしは絵の具を渡してくれた先生に抱きついた。

「す、鈴宮さん!? 」

先生を困らせてしまう。分かってる。
でも、優しくされたらもっと欲しくなってしまう。

「あたし、細谷先生が好きです。あの時のキス、何でもなかったことに出来ないです」

駄目だ。止まらない。

先生を大好きになってしまった。

好きと告白した瞬間、顔だけでなく全身が熱を帯びているような恥ずかしい気持ちになった。
その熱であたしの心が思考がとろけてしまうんじゃないか。ぞくぞくした。

「鈴宮さんにそんなこと言われたら止められなくなりそう」

先生の顔を見ると、こんな切なそうな表情をするなんて今まで知らなかった。

その顔を見てしまったら余計に自分の気持ちが抑えられなくなる。

「止めないでください」

「……アトリエに行きましょう。ここでは誰かに見られるかもしれないので」

アトリエに入ると先生は部屋に鍵をかけた。
カーテンも締め切りに。
きっと誰にも邪魔されないように、見つからないためだ。


「あの時の続き、したいんです。細谷先生」

あたしはキスの先が知りたい。

先生はあたしの唇を奪った。
あの時よりも深く。舌を絡めて。

あたしはキスなんてしたことなかったから、どうしたらいいか分からない。

先生の唾液が絡んだ舌が、ざらりとした感触が気持ちいい。

頭がぼーっとしてきて先生以外は何にも考えられない。考えたくもない。

アトリエにある、ふかふかのソファに押し倒されて、更に激しいキスを交わした。

この先、どうにかなってしまうんだろうか。
期待で心臓がバクバクしてる。
自分以外の体温がキスによって感じられるのが、刺激となって興奮する。
先生との行為を想像しただけで身体も心もとろけてしまいそう。
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