眩暈ーげんうんー
あたしが愛してる先生

一体何が分かるの

あたしは部活動に来るたび、先生と関係を深めていった。

もはや、キスを交わすのすら当たり前になってる。

最初はあんなに恥ずかしかったのに、今はもう恥ずかしがってる時間ですらも惜しいと感じて、自分から進んでキスをする時もある。

毎日身体を交えるわけではない、キスだけの日の方が多い。

不倫なんていけないことをしている。
なのに、罪悪感なんて全く感じられなかった。

先生と関係を結んでからというもの、刺激になっているのか筆の進みが良い。


あたしの作品がもう少しで完成する。

ああ、早く完成させて先生を喜ばせたい。

もう、8月も終わりに近づいてきた。

2学期がはじまるまでには終わらせたい。


そういや珍しく中村が来ている。
中村は美術部員にしては、見た目が茶髪で真面目な感じではない。地毛だって言ってるけど、染めてるんじゃないか。顔はまあまあ、わりとどこにでも居そうな顔してる。

相変わらずキャラメルやらポテトチップスやらお菓子を食べながら、わざわざあたしの隣で絵を描いてる。

もっと一生懸命やってほしい。
お菓子を食べる音が、静かな美術室で雑音となる。

あたしはその嫌な音にイラっとしながらも中村の作品をちらっと見た。

何、これ。

中村が描いてるのは、人物画。
ミディアムロングの黒髪が肩まで伸びてる、あどけない少女の絵。
涙を零している顔がなんともいえない。

あのおちゃらけてる中村からは想像も出来ないような絵。

なんか、誰かに似てるような気がする。
そう思うと気分がモヤモヤする。

< 19 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop