眩暈ーげんうんー
「鈴宮、お前さ……」

お菓子を食べていた音が聞こえなくなった。

「何? 集中してくれない?話しかけてこないで」

「ポッキーが今、会議で居ないから話すけど、アイツと何かあっただろ」

何かあっただろって、先生とあたしの関係に気づいてるの?

まさか、そんなはずないよね。

焦った態度を見せないようにしているものの、バレてないかと心臓の音が激しく鳴る。

「なんか鈴宮、前は幼い雰囲気だったのに、急に大人びてきたよな。ポッキーに惚れてんの?」

中村が今どんな表情してるか、分からない。見たくない。きっと軽蔑してるんだ。

あたしは描いてる手を止めて、自分の絵を見つめた。

中村の顔なんて見たくない。

あたしが先生を好きなのを知ってるみたいな口ぶりが嫌だ。

「お前、ポッキーに奥さん居るの知ってるだろ。それに教師と生徒の恋愛なんて実るはずない」

「な、何が言いたいの。あんたに何が分かる」

「分かるよ。鈴宮の変化くらい。ちゃんと見てるから」

は? 中村が、あたしの事なんて分かるの?
気持ち悪い。

「気持ち悪いって、言うなし。そんなんじゃねえよ。俺はただ……鈴宮が」

あまりに嫌だったからつい、気持ち悪いって口にしてしまっていた。

あたしが何? 心配だからとか、どうせ言うんでしょ。

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