眩暈ーげんうんー
今まで描いたものに対して、悪く言ってくる人は居なかったのに。あの時が初めてだった。

あたしの心に火がついた。

もうこうなったら誰にも文句を言われない程の作品を描いてやるんだと心に誓った。

更にやる気になれたので、今となっては不良に感謝さえしている。
まあ、先生を馬鹿にしたのは未だに許せないけど。

先生に少しでも近づけるように、今までの頑張り以上にやらないと。


「あたしは毎回部活に来ますので、先生よろしくお願いします」

そう意気込んだあたしに、細谷先生が嬉しそうな顔をした。


「わかりました。鈴宮さんが頑張ってるのを、先生はちゃーんと見てますからね。それに僕は作品が完成するの非常に楽しみなんです。きっと美しいに違いない」


尊敬する人にそう言ってもらえるなんて、嬉しい。

初めて大きいサイズで描いたものだから、大変だけど。大変以上にワクワクしちゃう。

自分の作品の完成が楽しみ。

よし、もっと本気出すぞ。

先生が驚くくらいの絵にしなきゃ。

充実した夏休みを送れるなんて、期待していた。

ーー早く絵を完成させて大好きな優しい先生を喜ばせたかったんだーー

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