さよなら、サンクチュアリ






「最悪」

「ち、違うんだよ!!俺浮気なんてしてないっ!」

「言い訳聞きたくないんだけど?」

「本当に何かの間違いなんだよ!!」


高2から付き合って3年、初体験も捧げた彼から待ってたのは手酷い裏切りだった。

見知らぬ女とベッドに入ってる写真を、どう間違えたのか私に送りつけてきたのは先週の日曜。



「なぁ、雪穂!信じてくれよ、マジで身に覚えないって」

自分で証拠を送ってきておいて何を今更。


「海斗、今までありがとう。終わり方最悪だけど、この3年に免じて恨まないでおくよ」

「誤解なんだって!!待て、待てよ!」



呼び止める声を無視してキャンパスから立ち去る。

周りには野次馬がちらほら。見慣れた顔も居たからすぐに噂になるだろう。



誠実さが取り柄の彼だった。
面白みには欠けても、このまま結婚してもいいんじゃないか、そう思ってた。

恋の終わりってこんなに一瞬なんだ、と深い溜息を吐く。裏切る奴に未練はないが、過ごした年月を思うと一抹の寂しさは拭えない。



《修羅場ヤバww草生えるwww》

早速動画付きでグループメッセージに投下してきたのは悪友の1人。



《ゆいヤメロ。ふざけんな》

《えwwやばww》

《とうとう姫が独り身に!万歳》

《酒持って雪穂んち集合》



《無理無理無理、今日は本当に無理》


慌ただしい通知に返事をしながら、この後待っている事を思い出して憂鬱になる。


《今日実家帰るから明日にして》



本当に、なんて日だ。

< 3 / 8 >

この作品をシェア

pagetop