春が終わるとき
「あぶねぇ、間に合った。」

「はぁ、はぁ、はぁ、ギリギリセーフ、、、」

俺たちが汗だくで講義室に入ったと同時にチャイムがなった。

急いで席についてノートとペンを取り出す。

「前髪崩れたし、、、サイアク」

「ごめんって、肉まん美味かったよ。」

「うっさい。」

大学の講義は90分。高校と比べるとかなり長い。が、しかし、大学生は携帯が使えるのだ。

俺は早々にペン入れを盾にして携帯を隠して、イヤフォンをつけて音楽をつけ深い眠りにつく。

「おい、寝るなっ!」

小さな声でこはるが言っているが俺はお構い無しに夢の世界へ旅立って行った。



──バシッ!───

俺が再び目を覚ましたのは、こはるに頭を叩かれた衝撃でだった。

「ねぇーもう、講義終わったんですけど。寝すぎでしょアンタ。」

「まじ?もう90分?ヤバっ!笑」

俺は眠い目をこすりながら体を起こす。

「今回はノート見せないからね!」

中学の時からこはるにノートを見せて貰ってきた。ようは中学からずっと眠りの常習犯なのだ。

「それは勘弁。なんか奢るから!」

「いや、無理。あんたの為になんないから。」

そういう、こはるのノートに目を向けると、分かりやすくまとめられている。小さい動物のキャラクターが描かれていて、吹き出しには俺のちょっとした悪口が書かれている。

つまり、俺にノートを貸す前提なのが丸わかりだ。

「見るなっ!」

こはるはノートのキャラクターを見られたのが分かると慌ててノートをカバンにしまう。

こはるはずーっと優しいのだ。つか、俺に甘い。

いやだいやだといいつつ、結局はしてくれる。

俺はそれに甘えてばっかりだ。

「まじごめんって、こんど飯奢るから!」

「あー無理ですからー!」

こはるは立ち上がり教室を出ていく。

「おい、待ってやー」

俺も慌てて机の上を片付けてこはるの後に続く。
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