耽美なる箱庭


 それから雑談がてら、仕事の話して日が暮れる。

 帰ろうと立ち上がった千佳に紙袋を手渡すと、誕生日プレゼントのことを根に持ってる千佳が、訝しげに眉を寄せて睨んできた。



「あけおめってことで」

「……中身は」

「手紙と、お年玉と、お菓子」

「……」

「渡せよ?ちゃんと」



 渋々、受け取る千佳がため息を零す。

 わかってるよ。もうふたりの邪魔するつもりなんてないから、無害な友達くらいはいいだろ。



「千佳、よかったな」

「……どーも」

「はー……可愛くねぇの」



 背を向けた千佳に、そうぼやいた。

 部屋に戻り、まっさらなスケッチブックに箱庭に棲む妖精の絵を描く。隣には、守り人。



「ふ、お幸せに」



 不器用な親友が、幸せになってよかった。

 もうエゴを押し付けたりしないから、幼なじみと箱庭の中で、安寧の時間を過ごしてほしい。

 だから、ののちゃんもよろしくね。


 ────あいつきもいけど、俺の親友だからさ。



end.

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