まよいぼしカフェ
「店内で何か気になる物はありますか?」
香月さんの質問に、再度店内をぐるりと見渡していく。
可愛いな、綺麗だな、と思う物はちらほらあるけど――あ。
カウンターの隅に置いてある小さなスノードームに目が入った。
「あのスノードーム……でしょうか」
そう伝えると、香月さんは一瞬驚いた顔をしていた。
「……そんなに珍しい物じゃないですが、理由を聞いても?」
「確かに珍しくはないですけど、色味と星がこんな限られた中で、小さなプラネタリウムみたいに見えたので……」
特別な装飾はない。ただ星のビーズのような物がコロコロと入っているだけだけど。
きっとひっくり返したら綺麗だと思う。
スノードームを見つめていれば、横から香月さんの手が伸び、スノードームを裏返してまた戻した。
「わぁ……!」
中で舞うキラキラが、星が降ってるみたい。
つい前のめりになって見てしまう。
「実は俺もこの店で一番、このスノードームが気に入っているんです」