まよいぼしカフェ
嬉しい



閉店30分前、わたしはまよいぼしカフェに着いた。


また進路に悩んで、カフェに来るのがいつもより数日空いてしまった。

今日も本当は諦めてたけど、常連さんたちに――香月さんに会いたくて。

ギリギリまで迷ってから来たから、閉店の時間が近くなってしまった。


カラン――


「あ……」


ドアを開けてすぐ、会いたかった人がいた。


「市川さん、いらっしゃい」

香月さんはいつもの笑顔をわたしに向けた。

「すいません、ギリギリにお邪魔して……」

「いえ、全然大丈夫です。今貸切ですよっ」


どうぞ、と香月さんが待つカウンター席へ座った。


< 25 / 79 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop