まよいぼしカフェ
嬉しい
閉店30分前、わたしはまよいぼしカフェに着いた。
また進路に悩んで、カフェに来るのがいつもより数日空いてしまった。
今日も本当は諦めてたけど、常連さんたちに――香月さんに会いたくて。
ギリギリまで迷ってから来たから、閉店の時間が近くなってしまった。
カラン――
「あ……」
ドアを開けてすぐ、会いたかった人がいた。
「市川さん、いらっしゃい」
香月さんはいつもの笑顔をわたしに向けた。
「すいません、ギリギリにお邪魔して……」
「いえ、全然大丈夫です。今貸切ですよっ」
どうぞ、と香月さんが待つカウンター席へ座った。