まよいぼしカフェ
「……実は、閉館してしまったんですよ」
「え?閉館?」
「はい、三年程前に」
三年も前に閉館――知らなかった。
「そうでしたか……」
割りとショックが大きくて、俯いてしまった。
道に迷ったんじゃなかった。
そりゃ探せないよね。
探している、プラネタリウム自体がないんだもの。
わたしは礼を言うため、顔を上げた。
「少し残念ですけど、知れて良かったです。開店前なのに、ご親切にありがとうございました」
頭を下げ、ドアノブに手をかけるが――
「もし良かったら、店内で過ごしていきませか?」
「え?……でも、開店前なんじゃ?」
もしや、気を遣わせてしまっただろうか。
けれど、違ったようで。
「いえ、たった今開店時間をまわりましたから。お時間があればどうぞ」
時計をさしながら再び見せられた笑みに、わたしは迷わず頷いた。
「是非っ」