まよいぼしカフェ
「……大人一枚に高校生一枚、お願いします」
わたしは学割が少し効くようで……
「もう少しで始まるみたいだから、先に行っとこうか」
「はいっ」
わたしたちが来てるのは、プラネタリウム。
カフェの近くになくなってしまったから、少し遠いけど……と、香月さんが誘ってくれて。
秋休みの一日、わたしと合わせてお店を休みにしてくれたのだ。
誘われた時のわたしの動揺は中々で──
『そ、それって外ですよね?』
『……外?まぁ外になるかな。見るのは中だけど』
わたしの意味不明な質問に、香月さんは不思議そうにしながらも答えてくれた。
カフェ外に出るけど、プラネタリウムは中で見れる、と。
いつもカフェでしか会ってないから……ちょっと緊張と驚きが凄くて……
『予定あった?』
『ないですっあってもお出かけしたいです。香月さんと……!』
……あれ?
これってもしかしなくても……?
『は、はつ……』
と、言いかけたところで思い切り口を塞いだ。
でも香月さんにはわかってしまったみたいで、わたしの顔を覗き込むと、
『初デートってやつです』
たまに見るいたずらっ子の顔をした。
……今思い出すだけで、顔が熱くなりそう。
「こっちだよ」
香月さんの後ろを付いていきながら、念願のプラネタリウムへの扉を開けた。