まよいぼしカフェ


「美味しい……」

「ありがとうございます。学生さんですか?」

「はい。高三です」

「あ、夏休みで……プラネタリウムに行こうと?」

「はい……ちょっと進路に悩み中というか」


こんなこと、話していいのかとグラスを両手で包み込んだ。

「周りは大学とか就職とかどちらかに絞ってる子ばかりで、わたしだけ何も決まってない状態に焦り……があって気晴らしに来たんです」

「そうでしたか……」


あ、暗い感じをうつしてしまった。
優しい人といっても、やっぱり初対面で話す内容じゃなかった。


「えっと……あ、でも!このカフェを見つけられたのは本当に良かったです。店内プラネタリウムみたいだし、落ち着いた空間がとても素敵で」

「ありがとうございます。見つけて頂いて」

「あ、あとお綺麗で羨ましいです……」


照れまじりにそう伝えれば、

「……ふふっ」

不意に控えめに笑った顔にも見惚れてしまう。

「ありがとうございます。でも……」

まっすぐカウンター越しに見つめられ、無意識にグラスを持つ手に力が入った。



「俺、男ですけどねっ」


にこり。



――え?



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