不本意ながら犬猿の婚約者と偽りの恋人になりました
「腹が立つでしょう? こんな女と一生を共にするなんて、どう考えてもおかしいでしょう? 今からでも遅くないからこの婚約は解消――」
「そうだな、君に幾度となく腹を立てたことは否定しないし、現状好感を抱いているとは言い難い。だがクレール次期当主として君と結婚することに不満はない」
「なっ! 何故ですか……!?」
「少し考えれば分かることだろう、この婚姻で得られる利はあまりに大きい」
馬鹿にしたように口の端を吊り上げるラインハルトに、ムカムカとイライラが腹の底から湧き上がってくる。
(やっぱりこの男、嫌いだわ!)
でも、とかろうじて冷静な部分で思案する。
テオドールもラインハルトと同じようなことを言っていた。
ジェニファーと嫡子の彼らとではものの見方が違う。
そのことは良く分かっているし、なによりこの婚姻に一番納得できていないのはジェニファー自身だという自覚がある。
ラインハルトのように上手に理性と感情を切り離せない事実にまた敗北感を覚え、それが堪らなくジェニファーを惨めにさせた。
「家は関係なく、ラインハルト・クレールいち個人に伺いたいです。本当にこの選択が最良だと思っているのですか? 相手はこの私なのですよ?」
「そうだな、君に幾度となく腹を立てたことは否定しないし、現状好感を抱いているとは言い難い。だがクレール次期当主として君と結婚することに不満はない」
「なっ! 何故ですか……!?」
「少し考えれば分かることだろう、この婚姻で得られる利はあまりに大きい」
馬鹿にしたように口の端を吊り上げるラインハルトに、ムカムカとイライラが腹の底から湧き上がってくる。
(やっぱりこの男、嫌いだわ!)
でも、とかろうじて冷静な部分で思案する。
テオドールもラインハルトと同じようなことを言っていた。
ジェニファーと嫡子の彼らとではものの見方が違う。
そのことは良く分かっているし、なによりこの婚姻に一番納得できていないのはジェニファー自身だという自覚がある。
ラインハルトのように上手に理性と感情を切り離せない事実にまた敗北感を覚え、それが堪らなくジェニファーを惨めにさせた。
「家は関係なく、ラインハルト・クレールいち個人に伺いたいです。本当にこの選択が最良だと思っているのですか? 相手はこの私なのですよ?」