不本意ながら犬猿の婚約者と偽りの恋人を演じることになりました
無意識に握りしめたネックレスがジェニファーの血で赤く染まった。
その途端ネックレスがぱあっと虹色に光り輝く。

「な、に……?」

とても暖かく優しい光だった。それはまるで――

「お、ばあ……さま?」

ジェニファーの声に応えるように、その光はジェニファーの体を優しく包み込んだ。
すると不思議と先程まで感じていた火の熱さを感じなくなった。

(お祖母様が、守ってくださっているの?)

完全に意識が遠のく寸前、ジェニファーを呼ぶ声を聞いたような気がした。

「ライン……」

伸ばした手が力強く握られた感触を最後に、ジェニファーの意識は深い闇に引きずり込まれた――
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