不本意ながら犬猿の婚約者と偽りの恋人になりました
「ジェニー、なにがあったの!?」
「今日ラインハルトの馬車できたんだって!?」
「まさかあのラインハルトと恋人に!?」

教室へ入った途端令嬢達に囲まれ質問攻めにあった。いくらなんでも耳が早過ぎる。

「皆落ち着いて。まだ詳しくは話せないけれど、強いて言うなら和解に向けた相互理解……ってところかしら」
「何よそれ? どういうこと?」

もう苦笑するしかない。
ジェニファー自身昨日の今日のことで気持ちが追いついていないのだ、落ち着くまで放っておいて欲しいのが本音だ。
色めき立つ令嬢達に「いま言えることはない」ことを幾度も強調しつつ、ジェニファーは自席についた。
そうしてラインハルトとのこれからに思いを馳せているうちに授業は進み、あっという間に昼を迎えた。

いつもは親友のリサと食堂に行くのだが、今日は調べ物があるからと断って、人目を避けながら裏庭に出た。
案の定人気はなく、ラインハルトもまだ居ないようだった。
食堂でなにか見繕うと言っていたからまだしばらくは来ないだろう。
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