不本意ながら犬猿の婚約者と偽りの恋人を演じることになりました
パチパチと炎の爆ぜる音でジェニファーは目覚めた。

(ボートを下りてコテージに着いてから、私達……)

先ほどまで激しく求め合っていた余韻が体のあちこちに残っていて、ジェニファーは両手で顔を覆って赤面する。

(私、いつの間にか寝てしまっていたのね)

暖炉には火がくべてあり、橙色の光がほの明るく辺りを照らしていた。
室内にラインハルトの姿はなく、ジェニファーは起き上がって簡単に身繕いするなり部屋を出た。

「ライン?」

そう広くはないコテージの中に人の気配はなかった。
少し心細く思いながらジェニファーは外へ出ることにした。
湖の方へ向かって階段を降りていくと、畔に腰を下ろし釣り針を垂らすラインハルトがいた。
ジェニファーは極力音をたてないようそっと近づいて隣に座った。

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