不本意ながら犬猿の婚約者と偽りの恋人を演じることになりました
「両家の確執も君の抱くわだかまりも理解はできる。俺自身まったくないとは言えないしな。だが皆分かってるはずなんだ、どこかで断ち切るべきだと」
「断ち切る……」
「ゼメルザとクレール。国の未来を思えば軍事、行政の要である両家が反目し合って良いことなどあるはずがない。当然一朝一夕にとはいかないが……俺達の婚姻はチャンスだと思わないか?」
この時、ジェニファーはもう何度目かも分からないラインハルトとの差に打ちのめされていた。
伯母から教え込まれたことをただ鵜呑みにしてきただけのジェニファーと違って、ラインハルトはもっと多角的に未来を見据えていた。
個人の感情や家門なんて小さな括りではなく、王国の行く末を。
ギリと奥歯を噛み締める。
過去ばかりに囚われている自分が酷く幼く愚かに思えて仕方がない。
悔しいけれどラインハルトは正しい。
ジェニファーは己の感情ばかり優先してきた自分がとても恥ずかしく思えた。
(やっぱり私は、ラインハルトには何一つ敵わない――)
「断ち切る……」
「ゼメルザとクレール。国の未来を思えば軍事、行政の要である両家が反目し合って良いことなどあるはずがない。当然一朝一夕にとはいかないが……俺達の婚姻はチャンスだと思わないか?」
この時、ジェニファーはもう何度目かも分からないラインハルトとの差に打ちのめされていた。
伯母から教え込まれたことをただ鵜呑みにしてきただけのジェニファーと違って、ラインハルトはもっと多角的に未来を見据えていた。
個人の感情や家門なんて小さな括りではなく、王国の行く末を。
ギリと奥歯を噛み締める。
過去ばかりに囚われている自分が酷く幼く愚かに思えて仕方がない。
悔しいけれどラインハルトは正しい。
ジェニファーは己の感情ばかり優先してきた自分がとても恥ずかしく思えた。
(やっぱり私は、ラインハルトには何一つ敵わない――)