キャンバスと五線譜
「そういえば祐輔って、」

奈々瀬が急に聞いてきた。

「どうして好きでもない私と、一応でも婚約したの?」

「奈々瀬だから。」

答えは、それしかなかった。

「奈々瀬以外の人だったら、婚約なんて話、受ける事もしなかったと思う。」

最後の最後で、そんな話する気もなかったのに。

でも、最後だからいいか。
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