キャンバスと五線譜
どこかに行きたいわけではなく、ただ外をぶらぶらして。
ふらりと寄ったコンビニで、ジュースを一本買うと、もう行くあてもなくなり、家路についた。
階段を昇ると、かすかにピアノの音が聞こえる。
聞こえるというか、空気の振動が体に伝わってくる。
家の音楽室は、防音になっているからだ。
そして中からは、僕の母親の声と、幼馴染みの奈々瀬の声が聞こえる。
僕の母親は中学生の時から、天才ピアニストとして活躍してきた。
20歳で父と結婚し、僕を産んでからもその活躍は衰えることはなかった。
今は学校の講師として、ピアノ科の生徒を教えている。
奈々瀬はそのピアノ科の生徒で、幼稚園の頃からの顔なじみ。
とは言っても、家が近所だとか、幼稚園の時にお互いの母親が仲が良かったとか、そんなんじゃない。
4歳からピアノの習っていた奈々瀬の才能を、僕の母親が見抜き、小学生の時に自分達の学校に、編入させた。
そして彼女は、母親が勝手に決めた僕の”婚約者”だった
。
ふらりと寄ったコンビニで、ジュースを一本買うと、もう行くあてもなくなり、家路についた。
階段を昇ると、かすかにピアノの音が聞こえる。
聞こえるというか、空気の振動が体に伝わってくる。
家の音楽室は、防音になっているからだ。
そして中からは、僕の母親の声と、幼馴染みの奈々瀬の声が聞こえる。
僕の母親は中学生の時から、天才ピアニストとして活躍してきた。
20歳で父と結婚し、僕を産んでからもその活躍は衰えることはなかった。
今は学校の講師として、ピアノ科の生徒を教えている。
奈々瀬はそのピアノ科の生徒で、幼稚園の頃からの顔なじみ。
とは言っても、家が近所だとか、幼稚園の時にお互いの母親が仲が良かったとか、そんなんじゃない。
4歳からピアノの習っていた奈々瀬の才能を、僕の母親が見抜き、小学生の時に自分達の学校に、編入させた。
そして彼女は、母親が勝手に決めた僕の”婚約者”だった
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