ラブコール♡ティー
そのとき、誰かがのれんを覗いた。
お、お客さんかな?
「すみません」
すぐ近くで、低くも甘い通る声が鼓膜を震わせる。
「おお、どうした? 食べるか?」
店主さんはお客さんのほうへと向き、そう聞いた。
距離が近くて、お客さんは私からは見えない。
どうしたらいいのかとあたふたしていると、隣のお客さんが言った。
「……じゃあ、鶏モモ三つ。ください」
「鶏モモね。ちょうどいま焼いていたところなんだ。すぐに渡せるよ」
「ありがとうございます」
お客さんはお礼を言う。
店主さんは鶏モモを三本とって、屋台の後ろのほうで包装を始めた。