ラブコール♡ティー
いや、誰!?
全く知らない人おーっ!
しばらくしてから、見知らぬ人は急に足を止めた。
そして手を話したかと思えば、こっちへ振り向く。
その顔には白マスク、目元も見えないサングラスが掛けられていた。
すっごい不審者感満載!! って思うのは、失礼か……。
しかし、いったい私に何の用が……と思ったら、さっきの焼き鳥の入ったビニール袋を私に突き出してきた。
「やる」
「……え、私に?」
予想外の展開に私は思わず聞き返すと、男の人はうなずいた。
いや、表情がまるでわからないんですけど……。
「ほら、受け取っておけ」
「あ、ありがとうございます……」
私は不思議に思いながらも、そう言うならとありがたく袋を受け取った。
ふわりと焼き鳥のいい匂いが香る。
男の人は私が受け取ったのを確認して、さっさと歩き出す。
「あ、ありがとうございますっ! でもあの、なんで、私にっ?」
向けられた背中に思い切って問いかけると、男の人は立ち止まった。
「……別に、理由はない」
それだけ言って、今度こそ本当に行ってしまった。
な、なんだったんだ……。
腰が抜けそうになるのをこらえながら、私は言葉も出ない思いで小さくなる背中を見送る。
ぐう、と私を現実に引き戻すようにお腹の音が鳴った。