一歩ずつ、君と一緒に。


お昼休み。
チャイムの音が響き渡るのと同時に授業が終わり、教室が喧騒に包まれる。机の上に乗っているものをカバンにしまって、お弁当箱を取り出すなり、私は中庭に直行する。


普段、休み時間や放課後は友達といることが多いのだけれど、昼食の時間だけは1人で過ごしている。お昼を食べよう、と誘われることも多々あったけれど、生徒会をしているのをいいことに、仕事があるからと適当な理由をつけて断ってしまっていた。


申し訳なさは感じるけれど、どうしても一人の時間がないとやって行ける気がしない。


少しだけ長い廊下を早歩きで通る。そして、中庭につながる戸の前で足を止め、少し固い扉を押す。中庭にはほとんど人はいない。いるとしても、他クラスの関わりがほとんどない人だけなので、私にとっては〝一人〟の状態である。


中庭に足を踏み入れると、薄く広く広がる草原の音が響いて気持ちいい。3つほどあるベンチに腰をかけると、途端に大きく息が吸えるから不思議だ。


お弁当箱を開けて、膝の上に広げる。いただきます、と小さく手を合わせたあと、箸を手に取ってお弁当を食べ始める。


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