雨音は恋の音。 雨の日、図書館で出会った王子さま。
第一話 少女漫画に憧れて
「いらっしゃい、星蘭ちゃん」
「藤岡さんっ、こんにちは!」
司書の藤岡(フジオカ)さんににこっと笑って挨拶を交わす。
いつも通い詰めている図書館だから、藤岡さんに覚えられていたんだ。
私--四葉(ヨツバ)星蘭(セイラン)。鷹麗(タカウララ)学園、中等部二年生です。
ここは、学園内に立っている、大きな図書館。
児童書はもちろん、辞典や教科書まで置いてあるの。
そんな中から選んだのは、恋愛ジャンルの少女漫画。それを、二階にあるガラス張りテラスで読むのが雨の日の日課。
少し濡れた黒髪のストレートを、お気に入りのふわふわバスタオルで拭く。
水滴を吸ったバスタオルを青いエコバッグの中に入れ、早速少女漫画を読み始める。
「ふふっ……」
気持ち悪いかもだけど、私は声を洩らした。
素直なヒロインが、意地悪なヒーローに意地悪されるシーン……本当好き。
はぁっと熱い吐息をこぼす。
私は、クールな見た目とは裏腹に恋に恋する乙女なのだ。
「星蘭ちゃん、お菓子とお茶、持ってきたよ」
「わっ、いつもありがとうございます藤岡さんっ」
「いいのいいの。星蘭ちゃんが使ってくれるから、わたしも毎日来るのが楽しいんだから」
「えへへ、嬉しいです。私も、藤岡さんが明るく笑顔でいらっしゃいって言ってくれるから楽しく来れます。これからも、よろしくお願いしますね?」
「もう、かわいいっ」
おっとりさんな藤岡さんにぎゅうっと抱きしめられて、私も笑顔を返した。
藤岡さんは、いつも私にお茶とお菓子を持ってきてくれる。
それも、私の大好きな和菓子。
少しおばあちゃんな藤岡さんだけど、その見た目に合っている優しい人なんだ。
じゃあね、と藤岡さんが去ったあと、私はお茶をぐびっと飲んでから、今日の和菓子であるわらび餅を口に放り込んだ。
とろりとわらび餅が下に乗るととけて、甘さが広がる。
きなことくろみつの、絶妙な奇跡の美味しさがまた口に広がって、んん〜と声を洩らす。
頬に手を添え、美味しさを体で表現。
とろ甘……最高すぎるっ。
ほわぁと声が止まらない。
そのとき。
「あれ、人いる」
「えっ……わ、来栖くん……?」
「藤岡さんっ、こんにちは!」
司書の藤岡(フジオカ)さんににこっと笑って挨拶を交わす。
いつも通い詰めている図書館だから、藤岡さんに覚えられていたんだ。
私--四葉(ヨツバ)星蘭(セイラン)。鷹麗(タカウララ)学園、中等部二年生です。
ここは、学園内に立っている、大きな図書館。
児童書はもちろん、辞典や教科書まで置いてあるの。
そんな中から選んだのは、恋愛ジャンルの少女漫画。それを、二階にあるガラス張りテラスで読むのが雨の日の日課。
少し濡れた黒髪のストレートを、お気に入りのふわふわバスタオルで拭く。
水滴を吸ったバスタオルを青いエコバッグの中に入れ、早速少女漫画を読み始める。
「ふふっ……」
気持ち悪いかもだけど、私は声を洩らした。
素直なヒロインが、意地悪なヒーローに意地悪されるシーン……本当好き。
はぁっと熱い吐息をこぼす。
私は、クールな見た目とは裏腹に恋に恋する乙女なのだ。
「星蘭ちゃん、お菓子とお茶、持ってきたよ」
「わっ、いつもありがとうございます藤岡さんっ」
「いいのいいの。星蘭ちゃんが使ってくれるから、わたしも毎日来るのが楽しいんだから」
「えへへ、嬉しいです。私も、藤岡さんが明るく笑顔でいらっしゃいって言ってくれるから楽しく来れます。これからも、よろしくお願いしますね?」
「もう、かわいいっ」
おっとりさんな藤岡さんにぎゅうっと抱きしめられて、私も笑顔を返した。
藤岡さんは、いつも私にお茶とお菓子を持ってきてくれる。
それも、私の大好きな和菓子。
少しおばあちゃんな藤岡さんだけど、その見た目に合っている優しい人なんだ。
じゃあね、と藤岡さんが去ったあと、私はお茶をぐびっと飲んでから、今日の和菓子であるわらび餅を口に放り込んだ。
とろりとわらび餅が下に乗るととけて、甘さが広がる。
きなことくろみつの、絶妙な奇跡の美味しさがまた口に広がって、んん〜と声を洩らす。
頬に手を添え、美味しさを体で表現。
とろ甘……最高すぎるっ。
ほわぁと声が止まらない。
そのとき。
「あれ、人いる」
「えっ……わ、来栖くん……?」