曖昧ハート


 「もういいから。離せって」
 「やだ」
 「マジで離せって、花音」
 「無理」
 「ほんと…。さっきから何?いい加減にしろよ」
 「え?」
 「俺を何だと思ってんの」


 ガッと腕を掴まれてドキッと胸が音を立てる。

 や、やばい。怒った…?村田が?

 温厚な村田の突然のキレに心底ビビる。


 しかし、殴られる……と咄嗟に体を身構えたが、殴られはせず。むしろ、服の中に手を突っ込まれて何やら状況が少し違うと気付く。


 「もういい。マジで無理。知らね」
 「ちょっと、村田」
 「誘ったの、花音だから」
 「待っ…、んんっっ」


 止めようとした声が唇で掻き消される。深まっていくキスに頭が追い付かない。気付けば服まで脱がされてる始末。


 あら?スイッチ入っちゃった?なんて気付いた頃には時既に遅しで。止めても止まりはせず、そのまま体を重ねてしまった。

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