曖昧ハート

朝チュン


 「……ヤッてしまった」


 朝日が差し込む眩しい部屋の中。布団に寝っ転がったまま天井を見上げてポツリと呟く。


 村田ん家の三毛猫が鈴を鳴らして部屋から出て行き、2人っきりの空間に冷房の音だけが静かに流れる。


 横で寝転がってる村田はまだ夢の中。私のお腹を抱き締めながら寝てる。

 ちょっと甘えているみたい。可愛い。


 まぁ、とにかく、何が問題かって私も村田もお互い何も着ていないってことだ。


 裸。リアルに裸。素っ裸。所謂、朝チュンってやつだ。それを証拠付けるようにベランダで雀が鳴いてる。

 もう何が何やら。とにかく凄かった。何がそんなに癇に触ったのか食われる勢いで肌を重ねた。

 煽ったのは私。でも、誘いに乗ったんだから村田も何だかんだ言って男なんだなと思う。


 こんな人畜無害な顔をして、ちゃっかり牙を隠し持ってたんだ。信じられない。

 しかも、結構良いアレだった。自分勝手なアレじゃなく、かなり丁寧だった。やるじゃん、村田。と思った瞬間、彼は目を開けた。
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