曖昧ハート


 「……はよ」
 「う、うん」


 村田の反応が気になって思わず声が上擦る。


 気まずくなるのはちょっと嫌だ。ヤッといてなんだけど、態度はあんまり変わらないで欲しいなんて自分勝手なことを思う。


 しかし、私の心配なんて、ただの杞憂だったみたい。村田は起き上がって眼鏡を掛けると、私の顔を見て「はぁー」と盛大に溜め息を吐いた。

 恥ずかしい。と頬を染めて昨日と同じように。


 「絶対、花音とだけはないと思ってたのに」
 「何かごめん」
 「いや、こっちこそ」
 「……にしても照れすぎじゃない?」
 「だってやばい。今までの関係を考えたらマジで恥ずい。顔が見れない。困る」


 鼻を指で擦りながら照れて俯く村田。赤面戦士。


 「乙女か!」


 思わず突っ込んでしまった。

 私より照れるって、どういうことよ?と思うが、村田は至って真面目だ。

 頼むから服を着て、なんて真剣に恥ずかしがってる。


 あまりの照れっぷりに拍子抜け。深夜の野獣っぷりが嘘みたいだ。ついつい村田の顔をポケーッと見てしまう。

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