曖昧ハート
おかしい?殴られてどっかバグった?不感症にでもなったんじゃないかと思うくらい無。
昨日はこんな感じじゃなかったのに。自分の変化に少しビビる。
でもまぁ、付けてくれただけまだマシか。最初はそのままされそうになったし。
焦って必死に暴れて、どうにかこうにか交渉は成立。若干の理性は取り戻して頂いた。
その所為で怪我が増えただけど、まぁ、仕方がない。本当に付けただけマシ。
それにしても全身が痛い。顔なんて髪が触れただけで痛い。これもう、痣どころかお化けみたいに腫れ上がるんじゃないかと思う。
明日バイトなのに……。どうしよう。
「マジで好きだから」
「わかってる」
「離れていくな……」
本気なのか熱に浮かされているだけだか、貴ちゃんは随分必死だ。ボロボロの体を抱き締められて痛みに悲鳴を上げる。
思わず顔を顰めると貴ちゃんは「ごめん」と泣きそうな顔で謝ってきた。
さっきのブチ切れた貴ちゃんとは別人。この殴った後の豹変ぶりは何なのか……。今までは愛しさを感じて受け入れてたモノがおかしく感じる。
洗脳が解けたみたいに違和感。
もしかして村田とのアレが良すぎたとか?だから何も感じないんだろうか……と、体を揺さぶられながら、バカみたいなことをぼんやり考える。
目を瞑って村田とのあれこれを思い出してたら、いつの間にか感じてる自分がいた。
だから、もう、その後はずっと頭の中では貴ちゃんとじゃなく村田としてた。
脳内浮気。貴ちゃんはそんなことも知らず凄く満足そう。心は全く繋がっていないのに。
3年の月日っていったい何だろうな……と、冷めた心の中で強く思った。