曖昧ハート

 「兄貴たち、ほんと村田のことが好きだね」
 「おー、あいつゲームも強いし、話が合う」
 「飯を作るのも上手いしな。聞き上手だから話してて楽しいんだよ」
 「あぁ、わかる。私もそうだわ」


 村田について話る兄貴に全面的に同意する。


 村田はどちらかと言うと、話すよりも聞き手に回る方。他の子は“話がつまらない”とか言うらしいけど、話すのが好きな私たちからすれば、村田との会話はかなり楽しい。

 話が盛り上がっていくうちに村田も色々と喋り出すし、自然と話が楽しい方向に流れていって話題が尽きない。

 要は私たち兄妹と村田は心の髄ずいから合ってる。


 「久々に会いたいわ」
 「俺も」
 「だったら会えばいいじゃん」


 会いたいコールを出し始めた兄貴たちにスパッとツッコむ。村田ならきっと兄貴たちが呼べばすぐに来るはずだ。

 実際、再会してから3回くらい、村田は兄貴たちに呼ばれて我が家へ遊びに来た。そこはもう、対戦ゲームで遊べる!って村田らしい動機だったけど、呼んでも特に嫌がりもせず二つ返事で了承してたし。


 「んじゃ、呼べ」
 「そうだ。電話しろ」
 「今から実家に来てって?」
 「あいつのことだからスマブラをするって言えば来るだろ」
 「じゃあ、ついでにタコパでもするか」


 そう言って兄貴たちはテーブルに置いてあった私のスマホを取って渡してきた。

 「買い出しに出るから」と言って、すっかり村田が来る気満々になっている。


 でもまぁ、確かに兄貴の言うとおりに言えば村田は100%来るだろう。今日は仕事も休みで一日中ゲームをするつもりだって張り切ってたし。

 それに村田って趣味が料理なだけあって、タコパとかそういうのをするのも好きなんだよなー。何なら私と2人だけでしたこともあるくらい。

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