曖昧ハート
もうね、いい。わかってる。君が女好きなことくらい、わかってるよ。
ただ、せめて隠せよ。やるなら抜かりなくやれ。ドアを開ける前にシューズボックスの中に放り込むとか何か出来たでしょ!浮気を隠す手まで抜くんじゃねーと、あの時は心底腹が立った。
なのに、まさか………。また、あの女と浮気するつもり⁉マジで?こんなに堂々と。しかも今から?私とヤった後なのに?貴方のハイテンションボーイはまだ頑張るつもりなの?
おいおい、マジかよ。すげーな。プロかよ。性懲りも無く、今宵も他の女と2人だけの密会ナイトパーティーを決め込むつもりですか。そうですか。
ファッキュー!クズが。消えろ。跡形も無く消えろ。今すぐ地球から去れ。宇宙へ飛び立て。ブラックホールに吸い込まれろ。控えめに言って、し……。
「おい。聞いてんのか?」
「あ、うん。聞いてるよ」
次から次へと沸き上がってくる苛立ちを抑え、女優ばりに作った完璧なしょんぼり顔を貴ちゃんに見せる。
謝られるのはコッチの方で私には全く非が無い。そう思ってても怒らすと面倒くさいから、物分かりのいい女を演じて適当に受け流す。
それこそ最初の頃は抗おうとしたが、付き合って半年くらいで自然とそうなってしまった。いや。そうさせられてしまった。