曖昧ハート
「じゃあ、2人で管理してるってことにすれば?」
「半分こか」
「ありだな」
宥めるように提案した村田に2人が名案だとでも言うように目を輝かせた。
二人で管理していることにすれば、たとえゴネられても絶対に安心だしな……ってテンション高く頷き合っている。
別に兄貴たちなら1人であろうと安全には変わりないと思うが、彼らの中では1番しっくりくる答えだったらしい。
妙に納得した様子でバトルを終わらせた。
「別れたら悩まなくて済むのに」
「ほんと、とっとと別れて次に行こうぜ、次」
「まぁまぁ、花音には花音の考えがあるんでしょ」
「そこをぶち壊すのが村田に与えられた使命なんだよ」
「そうだ。このバカの目を覚ませられる勇者はお前しかいないんだから」
いつもの如く、兄貴たちが手を取り合ってムチャクチャなことを村田に言う。
村田も慣れっこだから軽く笑ってスルーだ。はいはい、って感じ。
皆で仲良く“打倒貴ちゃん!”なんてふざけたネーミングの作戦会議なんか始めちゃって。いったい、どこまで本気なのか、ゲラゲラ笑いながら、かなり念入りに話し込んでる。
当の本人の私は完全に置いてけぼりだ。別に構わないけどさ。
「もー。兄貴たち。その辺にしておいてよ」
「うるせぇ。バカは黙ってろ」
「黙らない。村田が困ってるでしょ」
好き勝手話す兄貴たちを咎めつつ、たこ焼きの準備をするためにキッチンに向かう。
そしたら村田が同じようにキッチンへ入ってきて「手伝う」と私に言った。
そりゃ村田に手伝って貰った方が絶対にいいに決まってるし、そこはもう遠慮せず素直に甘える。