曖昧ハート
「花音はこのアイスだよね?」
そこへ更にタイミング悪く村田がアイスを持ってやってきた。
ギャル子の存在に気づいていないのか、カゴの中に入れたチョコミントのカップアイスを手に取って私に見せてくる。
うん。チョイスが完璧。さすが村田。わかってる。
でもね、今はヤバいんだよ。私の名前まで呼んじゃって、どう足掻いても関係者って事実は誤魔化せない。
村田に気づいたギャル子は驚いた顔をしてるし。それに気づいた村田は私とギャル子の顔を交互に見て微妙な顔をしているし。
その間に立つ私の顔は、きっと凍り付いていることだろう。完全に詰んでる。
「え…、男?」
なんて戸惑うギャル子の声まで聞こえてきて、焦りに頬をピクつかせる。
もうホント、どうしよう。これだけお酒を買おうとしている時点で家飲みなのはバレバレだろうし。家に来るような仲なのもお察しだろう。
友達だと説明しても通じないだろうし、兄妹って誤魔化しもきかない。いっそ逃げたいわ……とすら思う。