曖昧ハート


 しかも、あのタイミングで電話が掛かってきたことから察するに、浮気相手のギャル子が村田のことを貴ちゃんに話したのは明らかだし。

 絶対に今頃ぶちギレてる。見つかったら殺られるかも知れない。


 「絶対にキレて店に乗り込んでくるに1票」
 「その後、ボコボコに殴られて泣き落とされるに2票」
 「店を破壊されてワシ、ついに覚醒するに3票」
 「何それ。カッコ良すぎるし、店長」
 「まさかのダークホースっすね、店長」


 お客さんが少ないのか、店長まで休憩室に入ってきて私たちの会話に交ざる。


 親子ほど年が離れた店長は、普段おっとりとしているが、やるときはやる男だ。ガラの悪いお客さんが来るとビシバシ注意して摘み出してる。

 今もポヨンポヨンのお腹を豪快に叩くと「ま、何かあればタックルで追い出すから」と、おちょけた感じで私に言ってくれた。

 皆、それに「頼もしい〜」と声を上げて緩やかに笑ってるところからして、この店長が好かれてるのは間違いない。

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