曖昧ハート
裏と表
「……ってわけで貴ちゃんと本気で別れたいから。知恵を貸してよ、兄貴」
慣れ親しんだ実家のリビング。テーブルに置かれた週刊紙の上に手を突き、兄貴たちに鬼気迫る勢いで“お願い”をする。
部屋に居るのは、一弥《かずや》、治郎《じろう》、光弥《みつや》、志朗《しろう》、そして私の兄妹全員だ。
光弥と志朗以外は私のお見舞いを兼ねて実家に帰って来てる。親2人は1番目の兄貴……一弥の奥さんと子どもと百貨店にお出かけ中。
朝から雑誌を開いて浮かれてたから、きっと今頃デレデレで服とか買いまくってると思う。
「つまり、あのゲームパーティの日。村田とコンビニに行ったら、彼氏の浮気相手が居て。チャーンス!とばかりに面白おかしく彼氏にバラされた、と」
「うん」
「結果、ひよって連絡を無視してたらバイト先まで来てバチボコ」
「いい加減、愛想を尽かしたし、別れたい」
「だから助けてお兄様ってことだよな」
「まぁ、そんな感じ」
私がさっき話した事の経緯を兄貴たちが簡単に纏める。
街中で貴ちゃんに殴られた日から、ちょうど2週間。ずっと“どうにかしたい”と心が滾たぎってた。ちなみに体の方は無事。
病院で検査をしたけど、脳にも骨にも異常はなかった。念の為に2日ばかし入院して、今は実家でゴロゴロゆっくり療養してる。
痣も薄くなって傷も瘡蓋になってきたし、動くには充分。そろそろ別れに向かって進み出したいところ。
だから兄貴たちの知恵を借りようとしている。正直、私の頭だけじゃお手上げだから。