曖昧ハート
そんな村田と再会したのは1年前。貴ちゃんと喧嘩をして家から追い出されたある日、近くのカフェに入ったことをきっかけに再会した。
そのカフェは村田の勤め先で、店員の村田は最初『いらっしゃいませー』と呑気な顔でお客さんだった私の顔を見た。
お互い子供の頃から大して顔が変わっていない。だから私も村田も相手が嘗つての自分の友人であると直ぐに気付いた。
しかし、その日の私は何しろ貴ちゃんと大バトルをした後。殴られて痣と傷だらけだった。
そんなことをコロっと忘れ『あれー?村田じゃん。久しぶり~。私、花音』なんて、久々の再会にテンションが上がり能天気に挨拶をした私。
だけど、村田はそんな私を見て『え、は?花音?嘘だろ?何があった?』とクエスチョンマークだらけの反応だった。
むしろ、あたふたしていて。いきなりマスターの許しを得たかと思うと薬局に飛んで行き、消毒グッズを抱えて戻ってきた。
そして消毒してくれて、話まで聞いてくれて、美味しい物まで作ってくれて、元気付けてくれて、家もわりと近くよ、マジで行くわ、となったのが今の関係の始まり。
その日から貴ちゃんに放り出される度、村田に愚痴を聞いて貰ってる。