曖昧ハート
いい男。こいつマジでいい男。なのに私のダーリンときたら。ほんと、こういうの何十回目なんだか……。
自分でもどうしてあんな最低男が好きなのかわからないわ。バカみたい。
でもまぁ、所詮、恋愛なんてそんなモノかな。最低でも何でも“この人しかいない”と思えてしまうのが、恋愛マジックと言うやつだ。
人間って本当に厄介。動物のように本能だけで生きていければいいのに。
「つまみは?いる?」
「いる〜」
「わかった。ちょっと待ってて」
年期の入った座卓の前にちょこんと座り、芋焼酎が入ったグラスをカランと鳴らす。
私のお願いをあっさりと引き受けた村田は、自分のグラスを座卓に置いてキッチンの中に入っていった。
夜中に家を訪問して、つまみまで作らせてる私。これでいいのか…と思ったりもするけど、ついつい頼んでしまう。
頼みたくなるくらい、村田の作る料理はかなり美味しい。趣味が料理なだけある。
旦那より嫁にしたい男、それが村田だ。
「そういえば、この間いい感じって言ってた女の子とはどうなったの?」
料理を作る村田の隣にいき、純和風な面長の横顔を見つめる。
目が一重で鼻筋が通ってて唇が薄い。見るからに真面目そうな雰囲気。
うん。でも、じっくり見たら、なかなかの男前だ。悪くない。