幼馴染はお医者さん
1階のリビングに降りると私の好きなご飯がいっぱい並んでいた。

全部美味しそう。

お母さんはきっと私にご飯を食べて欲しくて
好きなものばっかり作ってくれたんだ。

ありがとう...


「きり。やっと降りてきてくれた。食べよう。」

「...うん...ありがとう」

お母さんとの会話を聞いていた愁くんが私の頭を撫でていつもの定位置に座った。

「いただきます」

「いただきます」

「召し上がれ」


美味しい。
意地を張ってご飯を食べてなかったから
実はお腹がぺこぺこだった。


しかも大好物ばっかり。


あっという間に食べてしまった。

「おばさんごちそうさま。うまかった」

「それはよかった」

「きり、薬用意してやるから飲め」

食べ終わった私をみて愁くんが私のバッグから薬を出してくれた。

「きり。それくらい自分で出来るようになりなさい」

「いいの、おばさん。
これから俺がきりを担当することにした。
ちゃんと責任持ってきりの喘息を戦うからさ。」

「え?」

「いいだろ?きり。」

目を細めて私を睨んできた。

ずるいよ、愁くん。
勝負に負けたし拒否権ないじゃん。


しかもお母さんの前で聞いてくるなんて。


「きり、愁くんに迷惑かけないようにしなさいよ。ちゃんと言うこと聞いて。わかってる?」

「...」

「ねぇ、きり。」


「おばさん、大丈夫だよ。
きりちゃんとわかってるから。
あまり言わないでやって。
なんかあったら俺に言ってくれればいいから。」

「ごめんねぇ、本当。」


「ってことで俺はきりに話がある。
久しぶりにバイクのって少しツーリングするか。
おばさん、きり借りるわ。
1時間くらいで戻ってくるから。」


「うん、気をつけてね」


「ほらきり、行くぞ
長袖長ズボンに着替えてきて。
ゆっくりでいいから。」

「...うん」

バイクを乗る時は必ず長袖長ズボン。
前の車のタイヤに挟まった石が飛んできたり生身の身体だから危ないって理由で昔から必ず長袖長ズボン。


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