幼馴染はお医者さん

「ついたぞ、降りろ」

綺麗な大学病院。
こないだタクシーで来た時は夜だったし
発作中であまりよくわからなかったけど
改めて見ると大きくて綺麗だった

かぶってたヘルメットを渡して
病院に入っていく愁くんについていった。

「保険証ちょうだい」

言われるがままバックから保険証を出して渡した。

「ちょっと待ってて」

愁くんは受付に行って保険証を出してくれた。
少し受付の人と会話をして私のところに戻ってきた。

「いくぞ」

ついていった先にはこないだ1泊した部屋だった。

内科⑤と書かれた診察室

診察室だったんだ
初めて知った。

誘導されるがまま部屋に入って椅子に座った


「荷物そこに置いて。
んで熱は測って。」

体温計を渡された。


...ピピピピ

39.4℃

え、解熱剤が切れてる?

元の熱に戻ってる。

「はい、貸して」

いつのまにか白衣をきて医者の愁くんになってる。


「白衣着ないでよ。
いつもの愁くんがいい。」

「今は医者。しっかりメリハリつけたい。
はい、体温計」

...ピッ
熱がバレたくなくて体温計を消して渡した。

「おい。」

「医者の愁くんには渡したくない」

「あっそう。」


怒らせちゃった。
いつもこの部屋にいる愁くんは怒ってる。


「もう帰る」

「今日は喘息の検査をする。
血液検査とかマウスピースのやつとか。
いつもやってるでしょ。
あと熱出てるから点滴する。
それ終わったら帰っていいよ。」

「今日は頑張る気分にならない」



「そんなの知らない。
すみません。
採血お願いします。」

愁くんが看護師さんを呼んだ。

「やらない」

「...」

無視されてる

「私、帰るから」

部屋を出て行こうとしたら
おばさんの看護師さんに腕を掴まれて止められた。
力が強くて痛い。

「川口さん。
血液検査するのでこっちに来てください。」


「嫌だって言ってる。触らないで」

「おい、わーわー言わずにやってこい」

「嫌だ。」

「俺の言うこと聞かないだろ。
じゃあ俺以外の人に頼むしかない。
さっさと採血してこい」

「嫌だ。」

「きり、いい加減にしてくれ。」


「愁くんなんか大っ嫌い
もうきりに近づかないで。
きりの敵だよ。お医者になんかなってほしくなかった。」



看護師さんの腕を払って
診察室をでた。
頑張ってここまで来たのに。


何でそんなに怒ってるの。
いつもは優しいじゃん。
いつも味方になってくれてたじゃん。

なんでなんでよ


涙が止まらない。

< 26 / 43 >

この作品をシェア

pagetop