幼馴染はお医者さん

4.歩み寄り


「おはようお母さん、お父さん」

下に降りて昨日ぶりにお母さんとお父さんに会った。

「大丈夫?」

「うん。ごめんね、心配かけて」

「それは愁くんに言え。すごく心配していたぞ。昨日の晩も電話きてきりの様子聞いてきたし。ごめんは俺らじゃなくて愁くんにいうべきだぞ。」

お父さんのその言葉が心に刺さった

そうだよね。
なんで愁くんにごめんって言えないんだろう


はぁ...

「いってきます」

「ねぇ、きり。仕事行くの?
愁くんに聞いた?」

「何で仕事行くだけで愁くんに聞かなきゃ行かないの。」

「だって...」

「いいだろ、きりももう子供じゃない。
好きにさせろ。ただちゃんと責任もって行動しろよ。きり。自分の体だからな。」


「...うん」

お父さんはいつも私を自由にさせてくれた。
でも“責任をもて”と口癖のように言われていて途中で物事を放棄した時にはこっぴどく怒られた記憶が何度もある。


お父さんの言葉が頭の中をぐるぐるしながら
家を出て職場に向かった。

とりあえず愁くんに謝っておこう
直接はなんだか恥ずかしいけどメッセージなら送れそう

《愁くん、昨日はごめんね。ありがとう。》

短いけど私の中の精一杯の言葉だった。

その日は熱もあったけどなんとか
薬を飲みなら発作が出たら吸入を吸いながら
仕事は耐えた。

仕事帰りに携帯を見ると
愁くんから電話が6件とメッセージがきていた

《きりは悪くないから謝らなくていいよ。
とりあえず今日当直終わったら家行くから》


《いま家きたんだけどおばさんが仕事行ったって。熱は?下がったの?》


《仕事帰ってきたら連絡して。実家にいるから》


流石に昨日の拒否の仕方はやりすぎた。
お医者さんになってほしくなかった
とかひどいこと言っちゃった。

帰って少し話してみる決意をした。


帰り道、愁くんのぶんのアイスも買って帰った。

< 29 / 34 >

この作品をシェア

pagetop